中学受験業界では「私立中に入れば塾代がかからないので、授業料がかかってもトータルでは教育費は安く済む」なんて話をする人もいますが、実際は違います。
私立中学生でも、結構な割合で塾に通っているのです。公立中と比べれば、塾に通っている生徒の割合は低いのですが、「私立中に行けば、塾に行く必要がない」なんていうのはウソ。
文部科学省の調査(子どもの学習費調査平成28年度)によると、一年間に学習費として塾代を支出した人の割合は私立中1年生で52.8%。一年生の段階から、2人に1人以上が塾に通っているのです。
【私立中生で塾に通っている人の割合】
1年生…52.8%
2年生…55.4%
3年生…56.2%
(データ出所:文科省「子どもの学習費調査平成28年度」)
(補足:学習塾費の支出率を塾に通っている人の割合としています)
同じ調査で公立中学生の塾に通っている割合は、中学1年生で57.9%、中学2年生で67.8%、中学3年生で80.4%となっています。公立中生の場合は、高校受験のため学年が上がるごとに大幅にアップしています。
これに対し、私立中生の場合は、1年生と3年生がそれほど変わりません。
高校受験がないので、3年生になってもそれほど増えないんですね。
ただ、1年生のうちから50%以上というのは意外と高いですね。
理由として考えられるのは英語。
ほとんどの私立中の入試科目に英語は含まれていません。
このため、生徒間で学力差が最も大きいのが英語となります。
入学試験をパスして入ってきた生徒間の学力は基本的には同じレベルになります。
ただし、それがあてはまるのは受験科目だけ。
受験科目にも得意不得意はありますが、生徒間で大きな差はつきません。
ところが英語は違います。
帰国子女のようにペラペラな子もいれば、中学受験には関係ないからと小学校のときにほとんど勉強してなかった子もいます。その差は大きいですね。
私立中の授業は公立中よりもレベルが高く、スピードも早いものです。公立は出来ない子にあわせて授業が進み、私立は出来る子にあわせて授業が進むと言われます。
このため英語がニガテな(あまり勉強していなかった)生徒にとっては私立中の授業は大変です。授業についていけない、理解できない、周りは出来る子も多い…。
そこで、塾に通うようになるというわけです。
実際に私立中学生向けの塾として多いのは英語塾です。
数学など他の科目を教えている塾でも、私立中学生専門のクラスを設けているのは英語だけだったりします。インターネットなどで調べてみると、都市部などには一定数の教室があります。
塾に通いたくないのであれば、自宅学習などの他の選択肢を検討するのもいいかもしれません。生徒間で差がつきやすい英語は、早めに対策を取ることが必要です。
せっかく入学した私立中での学校生活を充実したものとなることを祈っています。
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